性能

「UA値」ってなに?
数字だけにとらわれると断熱性が低くなる!?

最近CMで、「UA値0.37!」とか言ってるのをよく見かけるんだけど、UA値って何?

実は住宅業界では以前から「UA値」という言葉を使っていたのですが、最近になってこの「UA値」の数字を売りにする会社が激増してきました。

当たり前のようにUA値といわれても、そもそもUA値って何なの!?という方はたくさんいるのではないでしょうか。

今回はそんなUA値について解説していきたいと思います。

UA値って何?

外皮平均熱貫流率(UA値)は、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。

つまり、熱損失の合計を外皮面積で除した値で、値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。

引用元:ホームズ君.com

この説明からもわかる通り、UA値が小さければ小さいほど熱損失が少ないため断熱性能が高く夏は涼しく・冬は暖かい家を実現できるわけです。

地域別の省エネ基準

UA値が小さい方が断熱性能が高いことは分かったけど、どのぐらい小さければいいの?

いい質問ですね。
もちろんUA値には基準が設けられています。
しかも、その基準は地域によって違うのです!

考えてみてください。

例えば東京や大阪でそこそこ断熱性能の高い家を建てたとして、それと同じ性能の家を北海道で建てたとしましょう。

果たして北海道で建てたその家は、断熱性能が高いといえるでしょうか?

いえませんよね。

なので地域によって数値の基準が設けられているのです。

各地域区分は以下の通りです。

地域区分
省エネ基準(断熱等級4)0.460.460.560.750.870.870.87
ZEH基準0.40.40.50.60.60.60.6
代表的な都市旭川札幌盛岡仙台新潟東京
大阪
名古屋
宮崎沖縄

省エネ基準は国で定められている基準で、断熱等級4というのは断熱等級の中での最高等級を示します。

ZEH基準は、最高等級のさらに上をいく基準になります。

つまりCMで聞いた「UA値0.37」は、北海道レベルの断熱性能があるということか!

その通りです!
なんなら北海道のZEH基準さえ上回っていますね(笑)

UA値を低くするには

さて、UA値がどこまで低ければいいのかが分かったところで、どうすればUA値を低くできるのか考えていきましょう。

UA値を低くするには断熱性能を高めればいいので、以下のような方法があります。

・窓の性能を高くする

・断熱材を多く充填する

・そもそも窓を少なくするなど、開口部を減らす

熱が逃げていく場所は壁よりも屋根よりも、何よりも窓です。

つまりUA値だけにこだわるのであれば、窓をどんどん小さく、もしくは少なくするのが一番有効といえるでしょう。

実際、UA値だけを売りにしているハウスメーカーが建てる家は窓が極力少ないのです。

でもちょっと待って!

本当にそれでいいのでしょうか?

そもそも窓が少なかったら日射取得率が少なくなり、冬場の家の中は温まりません。

地下を想像してみてください。

窓がなく、外からの熱が入ってこないためひんやりしていますよね。

UA値を低くするだけのために窓を少なくして冬は寒いわ、換気はしにくいわ…

本末転倒ですね。

さらに断熱性能を高めるために断熱材を多く入れたり、窓の性能を高めれば断熱性能が高くなるのは事実ですが、それらの方法はいずれもお金ありきの話です。

都心部で北海道と同じレベルの家を建てたとして、果たしてその性能を発揮できる日は1年で何日あるのでしょうか?

実は都心部が0度を下回ることはほとんどなく、せっかくお金をかけて北海道レベルの家にしたのに、性能が発揮できずに終わってしまうなんてもってのほかです。

こうならないためにもUA値基準の数字を参考に、程よく断熱性能のある家を建てることが大切ですね。

何事もやりすぎは禁物です。

まとめ

UA値とは何か、自分の住んでいる場所の基準はどのぐらいなのか、しっかり頭に入れることでCMなどの数字にとらわれず、無駄なお金をかけずに家を建てれることがお分かりいただけたでしょうか?

・UA値の数値が小さいほど断熱性能が高い

・自分の住んでいる地域の基準値を理解する

・数字にとらわれすぎない

・窓を少なくすると断熱性能が高くなるのは嘘

程よい断熱性能で、人にもお財布にも優しい家づくりをしていきましょう。