初めての注文住宅はわからないことがいっぱい!
その中でもまず気になるのは耐震性ではないでしょうか?
せっかくのマイホームなので、誰もが地震に強い家を作りたいですよね。
ここで皆さんに質問です。
構造計算はすべての家で実施しているものだと思っていませんか?
実は違うんです!
どういうこと?
人が住む家なのに構造計算をしないなんてことがあるの?
本記事では、一般の方にはあまり理解されていない住宅の構造計算について解説していきます!
構造計算の必要がない家
以下の建物においては、通称「四号特例」と言われる建築基準法の特例により構造計算の義務がありません。
・100㎡以下の建物
・木造2階建て以下かつ延べ床面積500㎡以下の建物
・最高高さ13m以下かつ軒高さ9m以下の建物
・木造以外で平屋建て以下かつ延べ床面積200㎡以下
つまり、2階建てのほとんどの木造住宅で構造計算が実施されていないという事になります。
でも、義務じゃないなら法的な違法行為ではないよね?
違法ではありません。
しかし、この特例こそが一般の方への理解を混乱させる要素となるのです。
実は構造計算をしなかった事により上下階の直下率が足りず、耐震等級2の家が倒壊してしまった地震の例があります。
2016年に起きた熊本地震です。
一度の地震では倒壊しなかったものの、繰り返し地震によって沢山の家が倒壊した事が記憶に新しい大地震ですよね。
「上下階の直下率」とは、1階と2階の柱や壁がどれだけそろっているかの割合。
この数値が高いほど建物は安定します。
「上下階の直下率」は、構造計算することで求められます。
ここで、熊本地震で問題となった点を挙げてみます。
・構造計算をしていない耐震等級2の家が倒壊
・上記建物の柱の直下率は47.5%(適正値60%以上)、耐力壁の直下率は17.8%(適正値50%以上)だった。
この2点からわかることは、構造計算を行っていない耐震等級2の家は、構造計算を行った耐震等級2の家よりも弱いという事。
いつ大地震が起きてもおかしくない今、法的な問題はなくとも構造計算は必須事項だと言えるでしょう。
ただの法律と構造計算の数字、どちらを信じるかは言わずとも分かりますよね。
耐震等級についてはこちらの記事を参照してください。
壁量計算と構造計算の違い
四号特例が適応される住宅は構造計算の必要はありませんが、壁量計算と呼ばれる簡易な構造検討は必要です。
何も検討せずに家を建てれるのなら建築士は要りませんからね。
壁量計算
壁量計算とは、地震、台風の力に対して耐力壁となる壁はどれだけ必要なのかを検討する簡易計算の事です。
全体的にバランス良く耐力壁を入れていくだけで、梁の大きさや建物の歪みなどの検討をすることはありません。
熊本地震の際に倒壊した耐震等級2の家は構造計算を行っていなかったため、もちろん「上下階の直下率」も検討していません。
構造計算
一方構造計算は、耐力壁だけではなく柱や梁、床、建物の歪み、バランス、上下階の直下率など様々な検討をし、地震、台風、雪・人などの荷重、衝撃に対して問題がないかを計算する計算方法です。
許容応力度計算とも言われます。
壁量計算の耐震等級と構造計算の耐震等級は別物
耐震等級は1~3まであり、数字が大きくなるにつれて耐震性も高まります。
しかし熊本地震の話をした際に述べた通り、壁量計算しかしていない建物と構造計算をした建物の耐震性能は違います。
ではどのぐらい違うのか、強さ順に並べてみましょう。
なんと壁量計算での耐震等級2は、構造計算をした耐震等級1よりも弱いのです。
壁量計算がいかに簡易的なものなのか、お分かりいただけましたか?
まとめ
よく、ハウスメーカーや工務店では「耐震等級3」を売りにしています。
しかし壁量計算の耐震等級3なのか、構造計算の耐震等級3なのかで全く耐震性能が違いますよね。
何を根拠に「耐震等級3」なのかをしっかり確認することが、いざという時の自分の身を守ることになります!
ハウスメーカー・工務店選びの際に参考にしてみてください。
いつかの大地震に備えて、安心安全な家づくりをしていきましょう!